WCS2019Day1使用構築 トキ流オーガイベル(後編)
前回の記事の続きとなります、今回はWCSまでの考察をまとめたものです。最後まで是非ご覧下さい。
オーガイベルを続投した理由
世界大会では結果としてオーガイベルを使用しましたが、初めからイベルを使おうと思っていたわけではなく、むしろオーガイベルの続投は正直怪しいと思っていました。理由として
・イベルタルよりスペックの高いポケモン(特にレックウザ)を主軸とした構築に切り替えていった方が強いと、全国大会前から密かに感じていた
・サポートタイプのガエンレヒレという並びは最早弱く、世界大会ではコケコを軸としたオーガレックを始めパワータイプが増えていく
などから、七月末まではイベルタルから暫く離れ、オーガレック、ネクロズマ、ルナレック、グラゼルネなど別系統の構築を納得行くまで一通り試していました。
結果として、世界大会の環境予想として
・汎用性の非常に高いレックウザ採用者がほとんどとなり、相方にカイオーガ、ルナアーラ、ネクロズマ採用者が多い環境になる。グラレックやソルレックも少なからずいると予想、ゼルネレックは考察外。
・それに伴い、メタとして有効なルナアーラやネクロズマ入りの構築が増えていく
といったものでした。
グラゼルネ系統も一通り回しましたが、この構築に限って言えばかなりのプレイング力がない限り世界レベルでは勝ち辛いと考えており、Day2ならまだしもDay1となれば試合が進んでいくにつれてマッチングする可能性もかなり低くなると見込んでいたので、こちらのメタは薄くなると感じていました。
...と、こういった考えを一度整理した結果、ルナアーラやネクロズマの対策がしやすく、オーガレック相手でも勝率の悪くないイベルタルに戻すべきなのではという結論になりました。そしてPJCSで使用したゲンガーレヒレガエンのような受け身のコントロール軸ではなく、他の構築に負けないパワーを誇ったオーガイベルを完成させる方針に移ることになります。
構築経緯
軸としてオーガイベルガエンから構築スタート。
(前編からの追記となりますが、ガオガエンの最大の役割は以下の通りです。)
・対ルナアーラやネクロズマを、イベルガエンという悪二枚で徹底して潰す
この二体だけでほとんどのルナアーラ、ネクロズマ入り構築には勝てる自信がありました。
話を戻します。焦点を当てるべき構築として前述した通りオーガレックが最優先候補となります。その上で別系統の構築にも対応できるように色を加えていく方針としました。
まず、特に相手にしてて一番厄介な選出がレックウザ+コケコの並び。この並びだけでも動きのパターンは豊富で、「自然の怒り」から「画竜点睛ーなどのアグレッシブな動きから、「追い風」や「剣の舞」など積み行動orS操作など、考えるだけでキリがありません。
色々試行錯誤してたどり着いた対策論として挙げられたのは
・カプ・コケコやミミッキュといったフェアリーZ打点&上から殴れるor受けられるポケモンの採用
・コケコの電気技を受けられ、他の取り巻きにもある程度対応可能なポケモンの採用
の二つでした。これらを満たすポケモンを探したところ、フェアリーZカプコケコとナットレイにヒット。
前者のカプコケコはレックウザや相手のカプコケコだけでなく、カイオーガに対しても大ダメージを与えることができる上、Bo3であれば相手のレックコケコの持ち物が割れた後からの動きが非常に安定するため使い勝手が良かったです。
後者のナットレイはカイオーガ入りの構築であれば基本なんにでも出しやすい汎用ポケモンで、コケコの攻撃を容易に受けてしまうのが最大の魅力です。
ラスト一体には、イベルタル最大の敵であるゼルネアス対策として、メガゲンガーかメガメタグロスのどちらかを採用することになりましたが、ゼルネアスやレックウザをなるべく重点を置き、コケコやガエンにもそれなりに対応可能なメタグロスを取ることにしました。
詳細に関しては個別解説に続きます。
個別解説
実数値:233-135-132-167-130-123
HB:意地鉢巻メガレックウザの「画竜点睛」確定耐え
D:あまり
S:S-1最速メガレックウザ抜き
S-1最速コケコを上から抜くメリットがないと感じたため、S-1最速メガレックウザ抜きまでとし、物理耐久に努力値を大きく割きました。
Bo3環境ではチョッキ持ちとばれた時点で弱いと感じていたため、ソルガレオやルナアーラ入りの構築でない限り、二回以上選出することはありません。
特に電気Zコケコには滅法弱くなってしまったのは悩ましい点であり、誤魔化しが効かなくなっていたので火力ベースで悪Zやピンチベリーなどにしておいたほうが良かったなと痛感しました。
カイオーガ@藍色の玉
潮吹き/熱湯/凍える風/守る
実数値:183-x-117-247-181-135
HB:意地A252ゲンシグラードンの断崖の剣確定耐え
S:S-1最速コケコ抜き+1
「こごえるかぜ」により自力でコケコやメガレックウザを抜き、上から「潮吹き」で制圧する型。現環境で特にメジャーなこの二体にはチョッキ持ちや拘りアイテム、守るを切ったピンチベリー持ちが多いことが分かっていたので、ガオガエンと合わせて不利な状況を一転させることが可能。
この凍える風カイオーガに限らず、初見殺しには「バレると弱い」ものと「バレても強い」ものの二種類があると考えており、今回のカイオーガは後者に当てはまると感じています。
「しおふき」の枠は「根源の波動」との選択でしたが、Z持ち光の壁コケコが増えていたせいで中途半端なダメージしか入らなくなるのを嫌って変更しませんでした。
アイアンヘッド/バレットパンチ/じたんだ/身代わり
実数値:169-184-171-x-136-171
S:最速ウツロイド抜き調整
ツンデツンデにもよく見られる「身代わり」ですが、物理打点の鋼タイプの持つ「身代わり」は対ガオガエンや猫サイクルにかなり刺さる技であり、ウルトラルールにおいてはかなり強い技だと感じていました。
メタグロスの短所として火力が中途半端にしか入らない点が挙げられますが、裏を返せば「威 嚇」が入らない状態で弱点をつければ確定2発が保証される」ということなので、横のポケモンのサポートを受けつつ「身代わり」を破られないように立ち回るのが基本の動きとなります。
「守る」がなくて不便な時もありましたが、「バレットパンチ」の採用により微妙に体力の残ったゼルネアスやランクダウンしたレックウザに対してトドメを刺せたり、イベルタルの「不意打ち」と合わせて「ファントムガード」を保有しているルナアーラを倒せるアドバンテージの方が非常に大きかったため、そこまで困ることはありませんでした。
ガオガエン@ピンチベリー
実数値:201-138-125-90-138-81
HB:A実数値208メガレックウザのA∔1画竜点睛確定耐え
陽気ASカミツルギの聖なる剣を確定3発、乱数2発(1.1%)耐え
S:相手のガオガエンのS判定のためS4振り
HD:C実数値201ゼルネアスのC∔1ムーンフォース確定耐え
A:あまり
調整先を対ピンチベリー剣の舞レックウザ、耐久ゼルネアスに定めました。
せっかく威嚇を入れて火力を下げても画竜点睛で暴れられてしまうのが難点だったので、なるべくサイクルを回せるようにBに多めの努力値調整。
「バークアウト」の枠は悪技で確定だと思うのですが、ここはレックウザや相手のガオガエンやモロバレル、レヒレの持ち物妨害となる「はたき落とす」が一番良かったんじゃないかと少し悔やんでます。他の技構成や調整自体に不満はありません。
ナットレイ@たべのこし
実数値:181-137-151-x-160-22
HD:雨下控えめC252ゲンシカイオーガの「潮吹き」をWダメージで確定3発
A:あまり
カイオーガやゼルネアスを始め、対応範囲の広い汎用ポケモン。イベルタルやガオガエンの補助を受けつつ、「身代わり」+「やどりぎのタネ」で盤面に残り続ける。グロス同様にガオガエンからの妨害を避けられるため、横のポケモンへの攻撃に集中出来るのが強み。
オーガ入りの構築に対しては、相手にオーガガエン、こちらにナットレイ+@と残しておけばガオガエンを放置できる動きも出来るため非常に便利。元々はモロバレルの枠だったが、せいぜい補助されるのはカイオーガぐらいで他のポケモンには必要なかった上に、コケコの「エレキフィールド」で「キノコのほうし」の通りが悪くなるため不採用となりました。
WCS2019top8で同じくオーガイベルを使用した選手はここの枠がモロバレルになっているが理由は不明(イベルタルへの電気、フェアリー技を止めるため?)
カプ・コケコ@フェアリーZ
実数値:145-x-105-147-96-200
対レックウザに対して強く出られるフェアリーZ型。チョッキ以外であれば大半は瞬殺できるorチョッキであっても火力がないと分かれば他のポケモンのサイクルで潰せるためかなり重宝しました。
SDテキスト
Yveltal @ Assault Vest
Ability: Dark Aura
Level: 50
EVs: 252 HP / 132 Def / 4 SpA / 92 SpD / 28 Spe
Modest Nature
- Foul Play
- Snarl
- Oblivion Wing
- Sucker Punch
Kyogre-Primal @ Blue Orb
Ability: Primordial Sea
Level: 50
EVs: 60 HP / 52 Def / 196 SpA / 4 SpD / 196 Spe
Modest Nature
IVs: 0 Atk
- Protect
- Water Spout
- Icy Wind
- Scald
Metagross-Mega @ Metagrossite
Ability: Tough Claws
Level: 50
EVs: 108 HP / 148 Atk / 4 Def / 44 SpD / 204 Spe
Jolly Nature
- Stomping Tantrum
- Substitute
- Iron Head
- Bullet Punch
Incineroar @ Figy Berry
Ability: Intimidate
Level: 50
EVs: 244 HP / 20 Atk / 116 Def / 124 SpD / 4 Spe
Careful Nature
- Fake Out
- Flare Blitz
- U-turn
- Snarl
Ferrothorn @ Leftovers
Ability: Iron Barbs
Level: 50
EVs: 252 HP / 180 Atk / 76 SpD
Sassy Nature
IVs: 0 Spe
- Power Whip
- Gyro Ball
- Substitute
- Leech Seed
Tapu Koko @ Fairium Z
Ability: Electric Surge
Level: 50
EVs: 252 SpA / 4 SpD / 252 Spe
Timid Nature
IVs: 0 Atk
- Thunderbolt
- Volt Switch
- Dazzling Gleam
- Protect
戦績
1戦目 ソルガレックカビゴン◯◯ 勝ち
2戦目 オーガレックコケコ✖︎◯◯ 勝ち
3戦目 オーガレックコケコ✖︎◯◯ 勝ち
4戦目 ネクロレック ✖︎✖︎ 負け
5戦目 グラゼルネマンダ ◯✖︎✖︎ 負け
6戦目 オーガレックコケコ ◯◯ 勝ち
7戦目 ルナレックコケコ ◯◯ 勝ち
8戦目 ルナゼルネ ✖︎✖︎ 負け
WCSDay1 5-3
WCS、そして第7世代を終えた今の心境
ポケモンを始めた時からどの大会においても、参加するとなればいつも全力で取り組んできたスタイルだったので、今回の結果を受けてこれが今の自分の限界なんだと改めて実感しました。運要素が絡んだせいで落としてしまう試合もありましたが、それで拾えた時も何度も経験してきたので、言い訳には出来ません。ポケモンではなく、全てプレイヤーである自分が悪いです。構築の発想から本番での立ち回り含め、一から全て見返してみて自分に足りないものを把握して次に生かしていきたいところ...
また、世界大会に参加する人達の中でもトップカットに残るようなプレイヤー達の次元にはまだ到達出来てないと現場で痛感できたのも良い経験になったと思います。その感覚は世界大会に出場したことのある人間にしか分かりません。
ただ、WCS2015の決勝を観て、ポケモンプレイヤーとして始まった3年前から今までを振り返ると、本当に沢山の思い出や仲間に恵まれたんだなと改めて実感しました。
毎日少しずつ、1つずつ強くなることを目標に、止まることなくひたすらポケモンに打ち込み続けた日々は少しは報われたのかなと思います。
次の舞台は第8世代ガラル地方。学生生活も忙しい中、正直今までの自分を超え続けるのは成長すればするほど難しく険しくなっていきますが、マイペースに歩いて行こうかなって感じです。頑張る、というより、これからも楽しんで行きたいです。
またいずれ、何処かでお会いしましょう。
FIN