PJCS2019ベスト16使用構築 トキ流オーガイベル(前編)
トキです。7世代最後の記事になります。
今回はVGC2019ウルトラルールにおいて一貫して使用したオーガイベルの記事となります。かなり文量が多いため前編(PJCSまで)、後編(WCSまで)に分けて解説していきたいと思います。
尚、あくまで僕個人の考察をまとめたものになりますので、考察不足な点などところどころあるかと思いますが御容赦下さい。
オーガイベル構築経緯 第1段階
まずこのウルトラルールの印象として、個人的にはあまりにもプールが広いルールだなと感じていました。今現在においても全ての構築に対応できるようにするのが非常に困難なのは、VGCプレイヤーであれば誰しもが痛感してきたことだと思います。
そういった点からまず一体目の伝説ポケモンに必要なスペックとして求められたのは、汎用性の高さを誇り、なるべく不自由なく選出も可能なポケモンであるのが条件だったので、ここでチョッキイベルタルに注目しました。
ゼルネアスやコケコ以外であれば「バークアウト」「イカサマ」「ふいうち」などといった豊富な技構成、そして耐久力の高さから大半のポケモンは1人で戦えてしまう点、つまり「他のポケモンのサポートをあまり必要としない自立したポケモン」というのが一番の強みだと感じました。
考察初期の段階では、このゼルネアスやコケコさえ止められればいい!ということで、「バークアウト」ガオガエンを採用。
「吠える」も勿論有効ではありますがそれが嫌われるのは当たり前かつ分かりやすいため、相手のゼルネアスからしたら普通に攻撃するのが安定択になってくるので腐ってしまいます。
また、イベルタルやガオガエンで散らしてるうちに強力な伝説ポケモンを通したいということで、最初はジオコントロールを積めば無双できるゼルネアスを採用。
が、ここで問題となったのが「割と一撃で落とせるポケモンが限られており、ゼルネアス一体ではパワーが足りない」ということです。特に苦手な毒タイプや鋼タイプにはそれが目立ちました。
カイオーガやカプ・レヒレなど特防が高いポケモンに対しても重くなりがちなので、それも問題点の1つです。
ということで、それらに強いカミツルギ、そのカミツルギに強いメガレックウザやメガボーマンダのケアが可能なカプ・コケコを採用。マジカルシャインと自然の怒りをベースとし、カミツルギの破壊力を上乗せして無理やり突破する。
ここまでの五体で、ゼルネレックが非常に重く、コケコだけではカミツルギのサポートは仕切れない、ゼルネアスはまだ重いといったところでメガゲンガーを採用し、第1段階が完成。
第2段階
この並びを使ってるうちに浮き彫りになったのは「ガオガエンを必ず一撃で倒したい」という課題でした。殆どの構築に採用されるほど汎用性が高い故に、なるべく早く倒すことが必要不可欠だと感じたため、ガオガエンをワンパン可能かつ安定した火力を誇るグラードンとカイオーガのどちらかは必須だと思いました。
ここで選んだのはカイオーガです。後々ずっと使うこととなる訳ですが、グラードンを選ばなかった理由として
・特殊打点では火力が足りない上に、カイオーガに天候を取られた途端に何も出来なくなる。
・物理打点であってもガオガエンなどの威嚇によって結局ワンバンできない上、「断崖の剣」が命中不安定なため使いたくない
という2つの課題が非常に重く、解決が困難だと感じました。
そうしてカイオーガを選んだのにも理由があり、
・天候と合わせて高い特殊打点を活かした攻撃が出来る
・全伝説ポケモンの中で最も高い瞬間火力を引き出せる
という点でした。特に2つ目の個性はジオコンを積まないと火力がままならないゼルネアスには出来ない芸当で、これが大きな差別点となります。
そしてカイオーガを採用したことにより、弱点を突かなくてもワンパンで落とせる範囲がかなり広がったため、カミツルギなどを採用して無理に落としに行く必要がなくなり、むしろカイオーガのサポートを出来るポケモンを増やし、いかに暴れさせるかが構築を進化させるテーマだと思いました。
というわけで、一度カミツルギとカプ・コケコを構築から外し、イベルタル、カイオーガ、ガオガエン、メガゲンガーの四体から改めて考察をスタートしました。
第3段階
まず最初に課題として出した「ゼルネアスをどうするか」を解決しなければならなかったため、その対策として最も有効なのは火力の高い鋼打点で殴るという結論でした。
それだけでなく、ゼルネアスとよく組み合わさっているグラードンや、「大地の力」を覚えたメガレックウザの対策も出来ることが条件となってきます。一通り試した結果、答えとして採用したのはシュカのみツンデツンデでした。
HDを軸に調整し、木のみ補正が加わることで前述した二体の攻撃を耐えて行動できる点や、他のポケモンも一貫して脅威となる「断崖の剣」をケアする「ワイドガード」、自分が一番早く行動できるようになる「トリックルーム」、天候を奪える「スキルスワップ」と、このルールにおける鋼ポケモンの中では最も汎用性が高く魅力溢れた個性を持っています。
この五体が軸として決まり、固定メンツとして全国大会までずっと試運転をしていました。
第4段階(オーガイベルゲンガーの完成)
残り一体の課題として、
・カプ・コケコに役割を持てるポケモン
という条件を満たせるポケモンが必要でした。
候補として上がったのは、この3体です。
➀トゲデマル
避雷針により対コケコ性能が上がるのに加え、ほっぺすりすりとアンコールによりS操作やジオコン、守る縛りが可能。火力がないのと上から蜻蛉をするので後続に影響されるのが痛い。
②レヒレ
S操作と状態異常無効化、癒しの波動によりオーガとイベルを補助するのがメイン。ガエンと合わせればレックランドにはそれなりに強く出られるが、火力がなく一方的に上から殴れる展開になると痛い。
③テテフ
スカーフ持ちでオーガアマージョへの回答や相手の猫封じによりオーガが動かしやすくなる、雑に削れるアタッカー。その代わり器用なことができない。
一通り試して、最終的に構築に残ったのはカプ・レヒレでした。
「ひかりのかべ」や「癒しの波動」と言ったダメージを抑えてくれる技がかなり伝説ポケモンと相性が良く、HPに依存して火力が決まる「潮吹き」との補完性も非常に強く感じました。
火力の足りなさも「凍える風」を使って上からオーガに殴らせることで解決させたり、やることがない時に雑に削れるように「自然の怒り」を使ってカイオーガが落とせる範囲を広げるなど、使い勝手が良かったです。
肝心のカプ・コケコ対策としては、「凍える風を一度入れる」→「カイオーガに上から殴らせる」が最も有効なため、レヒレ自身がコケコの攻撃を受けきる必要がありました。
そこで持ち物として「ミストシード」を持たせることで、エレキフィールド補正がない限り電気Zでも耐えることが出来る上、元々耐久が高いので他の能力値に努力値を振る余裕が生まれ、ゼルネアスなどの他の特殊打点ポケモンに対してもかなり場持ちが良くなりました。
全国大会における統合時間制においても、これらのコントロール軸で攻める思考はフィットしていると感じ、TODを狙った戦法をひたすら生かす構築を目指しました。これで全国大会の構築が完成です。
個別解説
実数値:232-135-122-167-130-134
HB:陽気鉢巻メガレックウザの画竜点睛確定耐え
D:あまり
S:S-1最速コケコ抜き
構築のメインサポーター。基本的にどの選出にも組み込める。
控えめC4振りにしている理由は、意外と「デスウイング」を打つ場面が多く(モロバレルなどの草タイプには勿論、画竜点睛後のメガレックウザ、ガエンやレヒレなどメジャーポケモンにも)、場持ちを良くするためにも「デスウイング」の火力を上げる方向性を取りました。
特に大半のモロバレルに確定2発で落とせるようになっているのは大きいです。
控えめにしても物理打点である「不意打ち」の火力は十分高く(ゲンシカイオーガにも3割は削ってくれる)、特に気になりませんでした。
チョッキ持ちということで、Dに関しては明確な調整対象は設定していません。
カイオーガ@藍色の玉
潮吹き/熱湯/冷凍ビーム/守る
実数値:183-x-117-247-181-135
HB:意地A252ゲンシグラードンの断崖の剣確定耐え
S:S-1最速コケコ抜き+1
エースアタッカー、絶対選出。Sは最低限に抑え、火力に極力振った型。
レヒレよりわざと遅くすることで、「癒しの波動」+「潮吹き」という常に火力の高い状態を維持した攻撃が可能。「熱湯」は「根元の波動」と選択となる。
ゲンガー@ゲンガナイト
ヘドロ爆弾/滅びの歌/身代わり/守る
実数値:154-x-101-195-124-200
C:ヘドロ爆弾でHぶっぱレヒレのピンチベリー発動圏内に”入らない”調整
S:最速
対ゼルネアス、対ガエンレヒレ最強のカード。ガエンレヒレを影踏みで縛った後、わざとレヒレへのダメージを7割程度に抑え、横のカイオーガで「潮吹き」で倒す→滅びの歌で勝利のプランが非常に強く刺さり、特に全国大会ではTODの〆として滅びの歌が大活躍したためゲンガーをチョイスしたのは正解でした。
対グラードンやガエンに対しても必ずカイオーガで仕留めるために「身代わり」「守る」で重点的に場持ちを良くするのが基本的な役割なので、攻撃打点は「ヘドロ爆弾」だけで事足ります。
実数値:202-120-110-x-156-58
耐久に全振りし、トリル中にカイオーガやレックウザに打点を持てるようにZを持たせました。
対グラードン時は「わざと倒される」場面と「場に残る」選択肢を取れるように、そして「滅びの歌」の価値を上げるために「守る」を採用。
炎打点も欲しいと思ったことはありましたが、単純にアタッカーとしての役割は他のポケモンが満たしてくれているため、滅びの歌でかつプランを優先するため結果として外れました。
このポケモンが最遅として採用されるのは「猫騙しを撃つ」役割より「一番最後に動くとんぼ返りで盤面アドバンテージを取る」役割の方が強いからだと思います。
ツンデツンデ@シュカのみ
実数値:165-164-231-x-158-16
HD:C補正なし命の珠メガレックウザの大地の力確定耐え
A:あまり
2つ目のゼルネアスキラー。トリックルームを絶対成功させたいので耐久値に多く割くことを優先。また、対ガオガエンに打点を持てるように岩雪崩を採用しました。
グラゼルネへの対抗打点として非常に優秀で、グラードン以外の取り巻き(マンダ、レヒレ、ガエン、コケコ等)にはほぼ戦えるのが強みです。
カプ・レヒレ@ミストシード
凍える風/癒しの波動/自然の怒り/光の壁
実数値:173-x-155-115-150-136
HB:意地珠メガレックウザの画竜点睛耐え
S:S-1最速コケコ+2
カイオーガのメインサポーター。素早さをオーガ、イベルより速くし上からサポートする。
対カイオーガ、対レックウザ性能も非常に高く、ミストシードのおかげで物理耐久に配慮できたのも大きいです。
やることが多いが故に技のチョイスは慎重に選ばなければならず、特に横のポケモンのダメージ計算は間違えないよう練習する必要があります。
SDテキスト
Yveltal @ Assault Vest
Ability: Dark Aura
Level: 50
EVs: 244 HP / 52 Def / 4 SpA / 84 SpD / 124 Spe
Modest Nature
- Foul Play
- Snarl
- Oblivion Wing
- Sucker Punch
Kyogre @ Blue Orb
Ability: Drizzle
Level: 50
EVs: 68 HP / 52 Def / 196 SpA / 4 SpD / 188 Spe
Modest Nature
IVs: 0 Atk
- Protect
- Water Spout
- Ice Beam
- Scald
Gengar @ Gengarite
Ability: Cursed Body
Level: 50
EVs: 148 HP / 4 Def / 36 SpA / 68 SpD / 252 Spe
Timid Nature
IVs: 0 Atk
- Perish Song
- Sludge Bomb
- Disable
- Protect
Stakataka @ Shuca Berry
Ability: Beast Boost
Level: 50
EVs: 228 HP / 100 Atk / 180 SpD
Sassy Nature
IVs: 0 Spe
- Gyro Ball
- Rock Slide
- Trick Room
- Wide Guard
Incineroar @ Incinium Z
Ability: Intimidate
Level: 50
EVs: 252 HP / 4 Atk / 252 SpD
Sassy Nature
IVs: 0 Spe
- Fake Out
- Darkest Lariat
- U-turn
- Protect
Tapu Fini @ Misty Seed
Ability: Misty Surge
Level: 50
EVs: 220 HP / 44 Def / 244 Spe
Bold Nature
IVs: 0 Atk
- Light Screen
- Icy Wind
- Heal Pulse
- Nature's Madness
全国大会を終えて
マヨ君のインタビュー動画でも少し話しましたが、全国大会ではゼルネアス入りの構築よりオーガレックのようなサイクル思考の構築を始め、コントロール系統を軸とした人が勝ちあがれる環境だった思います。
また、オーガレックに強いルナアーラが増えるであろうこともある程度予測出来ていたので、安心してイベルタルを持ち込めました。
PJCS戦績:予選5-2(10位)、本戦ベスト16
ここまでが全国大会までの考察となります。
次の記事では世界大会までの考察を書き綴ります。
To be continued...